ガンプラの「プラ」をレビューしました!(組み立ては今年中を予定)

この記事ははんドンクラブアドベントカレンダー22日目の記事です。

 

記事を何にするか考えてたらもう今日になってました。汗

 

今年は僕が普段行っている仕事に関係する記事を書こうと思います。

 

題材はこちら!

 

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ガンプラです。昨日ドンキで800円で買ってきました。

ガンプラの「プラ」について書こうと思います。

 

そもそもプラスチックってどうやって形作られているかですが、【射出成形】という手法で作られています。

 

固形の樹脂ペレットを射出成形機という機械に入れて約200℃~300℃まで高温に加熱して液体にした状態で金型に注入(射出するという)し、次第に液体から固体に冷えて固めて目的の形を作る手法のことを言います。

 

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射出成形機は大体こんなやつ

 

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金型は大体こんなやつ

僕はこの金型をなんやかんやする仕事をしています。

 

最近では3Dプリンタが流行ってますが、3Dプリンタは1個作るのに印刷時間が多くかかるのに対し、射出成形は同じ形を連続して何千何万と作ることができます。

 

ざっくり射出成形はこんなところで、ガンプラの箱の中身についてふれていこうと思います。

 

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白や赤、青、黄色などパーツごとに色分けされたランナーが何枚も入ってます。

基本的にランナー1枚に対して金型が1面必要です。

 

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ランナー1枚に対して金型が1面必要になるのでこのガンプラはおそらく金型が3面必要になる計算です。(共用パーツを除く)

 

特に目を引くのが赤、青、黄色、グレーの4色が1枚になっているランナーですが、これ一度で同時に成形されているんです。。。

↑に画像で貼った成形機は単色の成形機で一般的な成形機ですが、この同時4色成形機はバンダイが独自に開発した超変態モデルです。(もちろん特許取得済み)

 

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同時4色成形できるすごいやつ

 

僕の会社にも成形機はありますが多くても2色までで4色は異次元です。(そもそも単色が基本。)

 

ここまではよく他のブログに記載されている内容で、ここからはものづくり目線でガンプラを見ていこうと思います。

 

 

 

樹脂が金型を通る道を①スプルー、②ランナー、③ゲートといいます。ゲートの先に製品部(ガンプラのパーツ)があります。

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プラモデルは製品部とゲートとランナーがつながった状態で販売されています。

パーツをニッパーカットした後の残りがランナーです。つまりゴミです。

 

射出成形は目的の成形品を作るのに余分なゴミ(樹脂の通り道)を作る必要があり、ゴミ=材料費に影響するので溶かして再成形して100%リターンする場合が多いです。

 

「プラモデルは製品部とゲートとランナーがつながっている」と述べましたが、そのランナーを流すランナーが存在します。(ゴミなので箱には入ってません)

 

一見すると切り口もなくどこから流しているか判別できませんが、よく見るとゲートが確認できます。

 

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赤い円柱の白い部分がゲート跡(ランナーとランナーのつなぎ目)と確認できます。

 

ゲートの種類にも色々あり、このゲートはサブマリンゲートと呼ばれ、自動的に製品部とランナーを切り離すことができ、端的に言うと神ゲートです。

 

 

Youtubeバンダイホビーセンターで実際に成形している動画がありました。

成形後取り出し器で取り出されたランナー(製品部)はコンテナへ、ゴミの方のランナーはコンテナに行く前に捨てられているのが確認できます。

 

ゲートの種類や選定方法など詳しい記述はいろんなところに記事があるのでそちらを見ていただく方がいいかと。

minsaku.com

 

次にランナーを見ていると一部が盛り上がっている部分がありました。

他の部分は起伏がないのに対し、この部分だけなぜこのような形状になっているのでしょうか。

 

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場所でいうと7か所、すべて外周に設定されている。(赤丸部分)

 

これについては金型の抜き方向が絡んでいて、僕らの業界ではアンダー処理といいます。

 

アンダーといっても???なので画像で説明しようと思います。

 

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上の絵の赤矢印の方向に型が開き、緑の製品が取り出せます。

型が開けば製品が取り出せるということです。

 

この時にもし下の絵のように製品に穴が開いていたらどうなるかですが…

 

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この場合、製品が金型に引っかかって製品を取り出すことができません。

 

 

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つまり型の抜き方向以外の抜き方向を解決しないと製品を取り出せない(この場合穴の抜き方向)部分をアンダーといい、前述した白のランナーの起伏はこのアンダーを解決するための形状です。

 

このアンダーを解決するために金型にスライドコアという機構をつける必要があり、

その際のスライド機構の通り道を確保するためにランナーが凸凹として形状になっています。

 

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また外周にアンダーがあるパーツが設定されているのは、外周にスライドコアがある方が内側にスライドコアを設定するより構造が簡単になるため=コストが安くなるためです。

 

スライドコアによるアンダー解消について詳しく知りたい方はこちらから

monoist.itmedia.co.jp

 

最後に昔から疑問に思われている方もいるかもしれない謎の跡について話したいと思います。

 

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ガンダムのシールド部分

 

ひっくり返すとこのような面になっていて、他のパーツと組み合わせるためこの面は隠れるようになっています。

こういった隠れる面に対して丸い跡(黄色丸枠内)があり、形状でもないのにこのような跡をつけるのはなぜか疑問に思った方はいませんでしょうか。

 

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理由は金型から製品を取り出す際に突き出しという動作が必要で、その突き出しの際に設定した突き出しピンの跡が製品に残っていたためです。

 

しかも突き出しについては全体的にバランスよく突き出しピンを配置する必要があり、

複雑な製品だと何百本の突き出しピンを設定することもしばしばです。

 

 

いかがでしたか?もっと金型についてあれこれ書きたかったですが、筆者の体力と相談した結果、とりあえずここまでにしておきます。

 

何年振りかにガンプラを購入しました。職業病なのかプラモデルを組み立てるよりもプラスチック自体に興味を持ってしまい、延々と組み立てが進まないです。

 

年内までに組み立てをして自宅にガンダムを建立したいと決意しました。(現在2:15)

 

今年もあと少し!何とか乗り切って良い新年を迎えましょう。

 

以上!